アオリイカを余すところなく

昨夜釣ってきた獲物を早速捌くことにした。ちょっと前まで泳いでいただけあって本当に新鮮そのものだ。まずアオリイカから、最初に胴体と足(ゲソ)部分を引き離す。腹に指を入れて連結部分を引き離し、胴体は寿司用に、足は塩辛にすることにした。胴体は円筒状になっているので返し包丁で真ん中を縦に切り、内部に付着した内容物を包丁で剥ぎ取り、きれいに水洗いして頭部のエンペラを取り除き(塩辛に使用)続いて皮をはぎ取ってゆく。胴体の内部にも薄皮があるのでこれも取り除く、これで寿司用のネタは出来上がり後は適当な大きさに切るのみ。

次に引き離したゲソと内臓は、まず目の近くに包丁を入れて取り除くが、この時に力を入れ過ぎて潰してしまうと目にある墨が飛び出るので要注意。内臓は肝臓を使うので、肝臓に付着した墨袋も潰さぬようにゆっくり引き離してゆく。肝臓とゲソを切り離し、肝臓は絞り出してミキサー容器に入れ、塩・みりんを入れて攪拌する。こうしないと肝臓内の繊維が邪魔でゲソとスムースに混ざらないからだ。ゲソは足についている爪?を包丁でこそげ落として適当な大きさに刻む。これをミキサーに入れてよく混ぜ、ガラス瓶に移して毎日かき混ぜて空気を入れ、冷蔵庫内で10日前後発酵させれば旨い塩辛が出来上がる。
なんでもそうだと思うが、特に発酵食品には食べ頃と言うのがある。イカや酒盗(カツオの塩辛)は仕込んで二週間くらいが一番旨く、時間が経つと味が落ちてくる。これは油分の酸化と雑菌類の増殖が原因だろうと思っている。特に添加物を入れない自家製はこうしたことが言えるのではないだろうか。逆に新鮮過ぎても味についてはあまり評価ができない。それは蛋白質が分解して旨味成分のアミノ酸類が出てくるのに多少の時間がかかるからだろうと思う。この事はマヌカハニーの巣箱内の熟成が一定期間要するのと共通したところがある。採れたての蜜はマイルドさに欠き、優しく包み込むような味としての多幸感がない。

この時期のアオリイカは実が厚く柔らかで甘みが強く、寿司ネタとしては最高である。私は千切りにしてすり鉢にショウガを沢山擦り、たっぷりの醤油※自作の漁醤油(ナンプラー)とみりんを少々落とし、これに1/3ほど漬けて一気にすすりこむのが一番好きな食べ方だが、なんでもこの事を日本では ”イカそうめん” と呼ぶらしい。

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