NZ流生活のススメ・1

2017.08.24

アジをさばく

先日、釣りの話になったので早速書いてみたい。久しぶりの晴天に恵まれた先日、近くの海岸で魚釣りを楽しみ、狙い通り30㎝級のアジ(尺アジ)を1時間程で娘と30匹程釣り、その場でウロコ、エラ、内臓を取り去り持ち帰ってきた。これはいつもの手順だ。今回はアジとサヨリだったが、こちらでは何処のビーチでもタイが釣れる。タイ釣りといえば日本では昔から”海老鯛”といって、餌は生きエビでないと釣れない事になっている。だがこちらでは冷凍イワシやイカで充分!! それだけ多いという事だ。
以前、浜松にあった弊社から近い浜名湖で、こちらに帰る前に夜釣りを楽しんだ。偶然居合わせた地元の(元漁師で初老の)おじさんにこの事を話すと全く信じてもらえず、おじさん曰く「あんた、そんな馬鹿なことワシら漁師仲間に言ったら怒られるゾ!!」「それはお伽の国のオトギバナシだよ」と。詳細を話すと「ワシもソーユーお伽の国に行ってみたいものだ」。最後は半信半疑でブツブツ言いながら何処かへ去ってしまった。

さて、釣った魚のさばきは現場でやるにこした事はない。生きている内に魚篭から取り出し、海水できれいに内臓などを洗い流す。これらの臓物は、カモメやウミネコがきれいに食べてくれるので生ごみなどは出ませんし、第一台所が汚れず、また大量の海水できれいにしたものは気のせいか一段と身が締まり、魚臭さもなく大変に旨い。帰宅後は塩コショウ、ワイン、ニンニク、オリーブ油、裏庭のレモンと月桂の葉をもぎ、レモンの絞り汁をふりかける。順番は、ワイン(自家製)→塩コショウ→月桂の葉→ニンニク→レモン→オリーブ油。このうち最も重要なスパイスは何といってもニンニクだ。ケチらず、皮も剥かずにひと玉をそのままおろし金でガリガリとおろし、魚体の内腹に擦り込む。こうして味付けが終わったものをビニール袋に入れ、中の空気を完全に抜き取ると、短時間で味が魚体にしみ込み2時間放置すればOKだ。
これをディープフライ、つまりから揚げでカラッと揚げ、生野菜は輪切りの玉ねぎと、千切りセロリ(葉っぱも)そのほかイタリアンパセリ、コレアンダーなどを添え、タバスコの数倍辛い辛し油(これも自家製で栽培したハバネロ)を数的フライに垂らす。このときに食すライスは、生米を玉ねぎの微塵切りと一緒に少量のオリーブ油で強火のキツネ色になるまでよく炒め、熱く熱したコンソメスープで炊き込みピラフタイプに仕上げる。それと一切れのフランスパンがあれば、まさに最高のフライ料理が楽しめる。
そしてこれを食べるには、良く晴れた日の昼食に限る。くもりや雨、また夜にこの食事は旨くなく、こういう時は釣ったものを叩きや寿司で食べることにしている。
しかしなんといいましても魚は日本だ。日本の魚は脂があって本当に旨い。ただしこれは、お茶碗と箸で食べる料理においてである。

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