貯蔵蜜を与える重要性

いよいよ夏枯れがやってくるのか日照り続きの日が多くなってきた。これが長引くと乾燥が益々激しくなり地割れが生じてくる。養蜂場内の花が急激に少なくなり、ミツバチ達も食料となる花蜜や花粉の採取が困難となる。この乾燥期のある期間内を目安に、巣箱内で追熟させた(マヌカハニーが山盛りに貯まる)巣房のフレームを離蜜の為に全て取り出す。しかしそうすると巣箱内はミツバチの餌となる蜜が無くなってしまうので、取り出し作業と同時に整理番号を付けて保管してある同じ巣箱のマヌカハニーのシーズン外に採れた百科蜜を入れる。ミツバチの習性として花がある限り際限もなく蜜を集め貯めるが、越冬中の食料は4フレーム程度で良い。この点で温暖で雪が降らない当地、北島北部の養蜂は有りがたい。これにより外部環境によって花蜜が不足しても、自身たちで集めた貯蔵蜜が巣箱に有るのでストレスにならず平穏な日々を過ごせることになる。
多くの養蜂家は蜜を全て採取・販売してしまいミツバチたちにはその後砂糖液を与えるのが一般的だが、私はあえてそれをしない。砂糖液を与えることでミツバチたちに余分な労力を与えてしまい疲弊が早まってしまうからであり、今までの経験から糖液を便法として与えたものと、そうではなく自らの貯蜜を餌として利用したものとでは来春の群勢が大きく異なるからである。そして大事なことは(前にも書いたように)貯蔵蜜は同じ巣箱のものを利用し他群のものは使わない事で、これは伝染病防止の鉄則でもある。
日本の養蜂器具などを扱う材料店では空巣脾(からすひ → 貯蜜・花粉・さなぎ・幼虫・卵が入っていない空の巣)を普通に販売している。これには驚くが、多分日本ではミツバチの感染症治療・予防に抗生剤・抗生物質の使用が許されているからだろうと示唆している。ニュージーランドでは第一次産業省(旧農務省)の規制でこの販売はされていない。それはミツバチの伝染病拡大の温床になってしまうからである。伝染病が確認された場合は巣箱もろとも(中の蜂も)焼却処分にしなければならないし、このことは第一次産業省に詳細を報告しなければならない法的義務が生じる。
流蜜期が終わり暫くして収穫となるが、一方で収穫と同時にもう来春の事を考え越冬の準備などに気を巡らすことになり、ミツバチがいつも健康で活動できる状態をサポートするのが蜂飼いの仕事である。

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