活躍する日本のチェンソー

2017.10.10

日本からチェンソーの部品が届いた。連休前の取り寄せ注文だったので時間がかかり首を長くして待っていたのだ。日本製のプロ仕様機で排気量が42㏄、20インチのガイドバーが付いたものだ。さすがプロ機だけあって何の問題もなく今まで順調に作動していたが、消耗する部分は取り替えなければちゃんと動いてくれない。キャブレター内部のダイヤフラムとチェーンを回すスブロケットの交換となった。少し時間がかかったが、何の問題もなく組み立てることができた。
このチェンソーは古道具屋で見つけた。型は非常に古く昭和60年などと刻印してあるが、まだ十分使えそうだったので手に入れた。日本のメーカー品で一流ブランドなのだが、古いせいか破格の値段で売っていた。いろいろと修理しなければならなかったが、使い慣れてくると愛着が湧いてくるものである。通常、日本のホームセンターで売っている物とは違い、この手のものは農協などでしか売っていない本格的な物なのだ。DIYなどで使う道具とは違って、非常にしっかりとできている。こういう製品は部品一つとっても実にしっかりと合理的に作ってあり、見ているだけでも楽しい。養蜂という仕事は様々な事をやらなければならないが、特に森林伐採にはこのツールが必需品である。

マヌカ樹木は25年程度で花蜜の分泌が少なくなってくる。これらの老木は切り倒して更新する必要がある。かといって一度に切り倒してしまうより、少しずつ更新していくのが良い。マヌカ樹木は生命力が強く、種子が落ちて切り倒したところからすぐに生えはじめるのだ。非常に日の光が好きな木で、3年も経てば立派に蜜を分泌する。酸性土壌を好み、痩せ地でも生育するたくましい木である。道路拡張工事の後路肩や、切通が崩れないための植林などにも利用されている。非常に多くの種類があり、どの種から活性度の高い花蜜を分泌するかを見極めることが、ランクの高いマヌカハニーを得るためには非常に重要である。マヌカ樹木のハチミツならどんな種類でも良いと思ったら大間違いなのだ。この事は後ほど話したく思っている。

マヌカ樹木は大きくても直径が30㎝程で、非常に木質が硬い木である。チェンソーの刃を研磨する頻度が多く、伐採には必ず研磨用のヤスリとその付属品を持参する。硬い木の為、伐採には気を使う。チェンソーの刃先をできるだけ使わないようにしないと、キックバック(跳ね返り)をして非常に危険である。私は大学の専攻が農業拓殖学科だったので様々な機械の運転経験があるが、とりわけチェンソーは最も危険なツールの一つだと思う。これでケガをしたら半端ではないので、取り扱いには細心の注意を払う。データ的には下半身の事故が多く、特に伐採後の側枝処理は足場も悪く危険であるため、下半身には専用の防御着を付けている。これは厚手の生地からなり、中に沢山のナイロン繊維が織り込まれ、チェンソーの刃がキックバックしてきても、繊維が刃に絡みつきチェーンが止まるようになっている。お蔭でまだこの防御着のお世話になったことはない。

とにかく凄い回転数とエンジンの爆発音で切り進んでいくため、伐採の作業は疲れる。疲れてくるとどうしても注意散漫になるので、何回も休憩を入れている。蜂場でケガをしたら大変、場合によっては命取りになる。携帯の通じるところまで行き、状態によってはヘリコプターを呼ばなければならない事にもなりかねない。人里離れたところは静かで空気がきれいだが、常にこうした危険と隣り合わせだから、どうしても慎重にならざるを得ない。

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