メチルグリオキサール(MGO)3

2017.11.20

前回に引き続き、メチルグリオキサール(以下本文略 MGO)についてもう少し書くと、マヌカハニーの特有成分としてドイツの学者トーマス・ヘンレによって発見されたわけだが、MGOは異なる化学種の間で電子の授受をともないながらの化学結合を生成・反応において、電子を受け取る側、奪う側の化学種である。その為、多量体の形成する反応によりその形は変化しているので分析試験での同定は難しい。しかし、この反応は不可逆的でないために他の分子オルトフェニレンジアミンと反応させ、2-メチルキノキサリンに置き換えてMGOの含有量を測定できる。

この研究成果がトーマス・ヘンレの功績となって、マヌカハニー中の活性物質MGOが同定されたのである。手品の種明かしではないが、分かってしまえば非常に単純な事である。しかし何事もコロンブスの卵同然で、そこに到達するまでには、非常なご苦労があるわけである。残念かな、前出のモーラン先生はこの発見に至らなかったことになる。

マヌカハニー中のMGOは、初めからマヌカ花蜜に存在する訳ではない。花蜜中に存在するジヒドロキシアセトンがMGOの前駆体として存在し、これをミツバチが巣箱内の温度35℃近辺において徐々に反応を起こしてMGOに変化していくのである。
ここで興味深い実験データがある。マヌカハニーと何ら関連性のないMGO含有量が微量しかない他のクローバーなどの蜂蜜だが、これにジヒドロキシアセトンを投下するとMGOが生成されることが実験データより確認されている。これを当地にいる外国系の輸出業者がMGO数値を上げるために悪用し、第一次産品省(旧農務省)によって摘発されたことがある。因みにMGOの高低については、熟練してく来ると舐めてそれがどの程度のものかは多少判断できるように私は感じる。そして、亜種の多いマヌカ樹木の内、特にインカナム種から採れるマヌカ花蜜にジヒドロキシアセトンが多く、これはマヌカハニーのMGOの含有量に直接関係してくる。

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